潜水士の仕事はきつい？注意すべき事故リスク・給料・将来性を徹底分析

「潜水士の仕事はきついのか？」と疑問に思う人は少なくありません。水中での作業は特殊な環境下で行われるため、危険を伴う仕事であることは確かです。しかし、潜水士の仕事には多くのメリットもあり、多くの方を魅了するという一面もあります。

本記事では、潜水士の仕事内容から資格の取り方、給料の実態、メリット・デメリット、さらには事故のリスクまで徹底解説します。潜水士を目指すべきかどうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

 

潜水士の仕事はきつい？業務内容や厳しさの理由を解説

仕事内容は？何ができる？

潜水士の仕事は、水中での作業を専門とする職業であり、海洋建設、船舶の点検・修理、漁業、救助活動など幅広い分野で活躍します。水中環境は陸上とは異なり、視界が限られ、水圧や潮流の影響を受けるため、特殊な技術と装備が求められます。具体的な業務内容を見ていきましょう。

主な業務の一つは、港湾・海洋建設工事です。例えば、防波堤や岸壁の建設・補修作業、海底に設置される構造物の設置や撤去を行います。こうした作業では、潜水しながらコンクリートブロックの設置や鉄鋼構造物の溶接を行うこともあります。通常の建設作業と違い、水中での作業となるため、酸素供給システムや専用の器具を使いながら慎重に作業を進めなければなりません。

次に、船舶関係の作業です。船底の清掃や損傷の点検、スクリューの修理といった業務が含まれます。船は常に海水にさらされているため、船底には海藻や貝類が付着し、性能に影響を与えます。そのため、定期的なメンテナンスが欠かせません。また、沈没した船の引き揚げ作業（サルベージ）を担当することもあり、特殊な技術が必要とされます。

漁業関連の仕事も潜水士の活躍の場です。海底に魚礁（魚が集まりやすい場所）を設置したり、養殖場の点検を行ったりします。さらに、直接海に潜って貝類やウニなどの水産物を採取することもあります。

加えて、救助・調査活動も潜水士の重要な役割の一つです。水難事故の際には、警察や消防、海上保安庁と連携し、行方不明者の捜索や救助を行います。また、環境調査や遺跡の水中発掘など、科学的な調査のために潜水士が動員されることもあります。

このように、潜水士は水中で多様な業務を行う専門職であり、陸上作業とは異なる高度な技術と知識が求められます。仕事の幅が広い分、環境や条件に応じた適切な装備の使用や、高い判断力が必要となります。

デメリットとやめとけと言われる理由

潜水士の仕事はやりがいがあり、専門職としての魅力も大きい一方で、「やめとけ」と言われるほど過酷な側面もあります。水中での作業は陸上とはまったく異なり、体力・精神力の両方が求められる上、安全面でのリスクも高い職業です。具体的にどのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。

まず、身体的な負担が大きいことが挙げられます。潜水作業は重い機材を装着しながら水中での業務を行うため、相当な体力が必要です。特に長時間の作業では、低水温の影響や水圧による体調不良が発生することもあり、適切なコンディション管理が求められます。さらに、減圧症（潜水病）のリスクもあるため、浮上時には厳密な減圧スケジュールを守る必要があります。

次に、事故のリスクが高い点もデメリットの一つです。水中では酸素供給のトラブルや装備の故障が発生する可能性があり、これらの問題に迅速に対応できなければ命に関わることもあります。また、作業中に予期せぬ水流や水中生物の影響を受けることもあり、細心の注意が必要です。さらに、実際に潜水士が死亡する事故も発生しており、安全管理が徹底されていない企業では特にリスクが高まります。

収入面の問題もあります。潜水士は専門職であり、危険手当がつくこともありますが、見習い期間中は給料が低めに設定されていることが一般的です。経験を積むことで収入が上がることもありますが、労働条件によっては高収入を得られないケースもあります。特に自営業の潜水士は仕事の受注状況によって収入が不安定になることもあり、安定した生活を送るのが難しい場合もあります。

また、勤務体系が不規則でプライベートの時間を確保しにくいという点もあります。現場によっては長期間の出張が必要になったり、急な依頼でスケジュールが変動したりすることが多いため、家族や友人との時間を持ちにくい仕事でもあります。特に、結婚後や子育ての時期には、家庭との両立が難しいと感じる人も多いです。

これらの理由から、潜水士は「やめとけ」と言われることがあるのです。しかし、厳しい環境の中でもやりがいを感じる人や、特殊な技能を生かして働きたいと考える人にとっては、魅力的な職業であることも事実です。仕事のリスクとメリットをしっかり理解し、自分に合った働き方を考えることが大切です。

向いている人の特徴とは

潜水士の仕事は特殊な環境で行われるため、一般的な職業とは異なる適性が求められます。単に水中で作業できるだけではなく、強い精神力や高い集中力、安全意識などが必要です。それでは、どのような人が潜水士に向いているのか、その特徴を見ていきましょう。

まず、冷静な判断力がある人が向いています。水中では予測できない事態が発生することがあり、トラブルが起きた際にパニックにならず、適切に対処できる能力が求められます。特に、酸素供給のトラブルや急な水流の変化など、命に関わる状況でも冷静に対応できることが重要です。

次に、体力があり、持久力に優れている人も適しています。水中での作業は陸上に比べてエネルギー消費が激しく、長時間の作業では特にスタミナが求められます。加えて、重い装備を装着しながら動くため、筋力も必要です。日頃から体を鍛え、コンディションを整えておくことが重要です。

また、チームワークを大切にできる人も向いています。潜水士は単独で作業を行うことは少なく、チームで動くことがほとんどです。船上の支援スタッフや他の潜水士との連携が欠かせず、信頼関係を築けることが大切です。

さらに、慎重で安全意識が高い人であることも重要です。水中作業は危険が伴うため、細かいルールを守り、常に安全を最優先に考えられる人が適しています。わずかな油断が大事故につながる可能性があるため、ルールを徹底できる人が望ましいでしょう。

このように、潜水士には特定の適性が求められます。自身の特性と照らし合わせ、向いているかどうかをしっかり見極めることが大切です。

仕事で起こる事故や死亡率の現状

潜水士の仕事は、他の職業と比較しても高いリスクを伴います。水中という特殊な環境下で作業を行うため、陸上では起こり得ない事故が発生することがあります。そのため、細心の注意を払いながら業務にあたることが求められます。ここでは、具体的にどのような事故が発生するのか、死亡率の現状とともに詳しく解説していきます。

まず、潜水士に多い事故の一つに「減圧症（潜水病）」があります。これは、水中で長時間作業を行った後に急浮上することで、体内の窒素が気泡化し、関節痛や神経障害を引き起こす病気です。重症化すると呼吸困難や意識障害を引き起こし、最悪の場合は死亡することもあります。そのため、潜水士は浮上速度を厳しく管理し、減圧停止（一定の深度で待機し、体内の窒素をゆっくり排出する行為）を行う必要があります。しかし、作業時間の制約や安全管理の不備により、この減圧プロセスが適切に行われず、事故につながるケースが報告されています。

次に、酸素供給トラブルによる事故も発生することがあります。潜水士はエアホースやエアボンベを使用して呼吸を確保しますが、これらの機器にトラブルが発生すると、酸素供給が途絶え、窒息の危険があります。特に海流が強い場所や深海では、ホースがねじれたり、破損したりする可能性が高まるため、事前の機材チェックやトラブル時の対処法を徹底することが不可欠です。（労働災害事例）

さらに、水中での作業中に起こる事故として「水流による流され事故」や「海洋生物との接触事故」もあります。潜水士はしばしば強い潮流の中で作業を行うため、固定ロープや適切な装備を使用しなければ、流されてしまう危険があります。また、サメやクラゲ、ウツボなどの海洋生物が潜水士を攻撃することもあり、不意の接触によるケガや毒の影響を受ける可能性があります。

では、潜水士の死亡率の現状はどうなっているのでしょうか？ 日本国内における正確な統計データは限られていますが、厚生労働省の職業安全衛生データによると、潜水士の死亡率は他の建設業や危険作業を伴う職業と同等か、それ以上であるとされています。特に、十分な安全対策が取られていない環境での作業は、死亡事故につながるリスクが高くなります。過去には、水深50メートルを超える作業で減圧時間を十分に確保せずに急浮上させられた結果、死亡した事故も報告されています。

このような事故を防ぐためには、企業側の適切な安全管理と、潜水士自身のリスク管理能力が不可欠です。国や自治体のガイドラインに従い、定期的な安全講習を受けること、また最新の機材を使用することが事故防止につながります。潜水士の仕事は魅力的ですが、常に安全を最優先に考えなければならない職業であることを理解しておくことが大切です。

年収や給料の実態とは

潜水士の年収や給料は、業界の中でも比較的高い水準にあるとされています。しかし、その収入は仕事内容や勤務形態、企業の規模によって大きく変動します。また、経験を積むことで収入が増える一方、見習いの段階では思ったほどの収入が得られないこともあります。ここでは、潜水士の給料の実態を詳しく見ていきましょう。

まず、日本国内における潜水士の平均年収は約450万円程度とされています。これは厚生労働省の統計データによるもので、一般的なサラリーマンの平均年収と比較すると、やや高めの水準です。ただし、これはあくまで平均値であり、経験の浅い潜水士と熟練した潜水士では大きな収入差があります。

例えば、見習い期間中の潜水士の給料は月収17万円～20万円程度が一般的です。見習い期間は基本的に雑用や補助作業が中心となるため、潜水作業自体は少なく、収入も比較的低くなります。しかし、現場ごとに追加の手当（1現場あたり数千円～1万円程度）が支給されることが多く、出張や危険手当が上乗せされることで、月収は25万円～30万円になることもあります。

一方で、経験を積んで一人前の潜水士になると、年収600万円以上を稼ぐことも可能です。特に、深海作業や特殊な技術（溶接作業や構造物の設置）を持つ潜水士は、高額な報酬を得ることができます。加えて、企業に所属せずフリーランスとして働く潜水士もおり、契約次第では年収800万円以上を稼ぐことも珍しくありません。ただし、自営業の場合は仕事の受注状況によって収入が不安定になる可能性もあります。

また、潜水士の給料は地域や業務内容によっても変動します。例えば、港湾工事や海洋調査を行う大手企業では安定した収入を得られる傾向がありますが、個人経営の潜水業者では収入の波が大きくなることもあります。さらに、海難救助や警察・消防の潜水士は、公務員として安定した給料を得られる一方で、民間企業の潜水士に比べると危険手当が少ない場合もあります。

また、潜水士の給料にはさまざまな手当が含まれることも特徴です。危険手当、出張手当、深海潜水手当などがあり、これらの手当が収入の大きな部分を占めることがあります。そのため、同じ潜水士でも勤務する会社や働く地域によって収入に大きな差が生まれます。

潜水士の仕事は、高い技術力と危険を伴うため、一般的な仕事よりも給与水準が高めに設定されています。しかし、安定した収入を得るためには、長年の経験や高度な技術が求められるため、初心者のうちは期待しているほどの収入を得られないこともあります。したがって、収入面を重視する場合は、どの企業で働くのか、どのような技術を習得するのかを考慮しながらキャリアを積んでいくことが重要です。

潜水士の仕事はきつい？収入やキャリアの実態とは

潜水士になるには？必要な資格や訓練

潜水士になるためには、国家資格である潜水士免許の取得が必須です。水中での作業は陸上とは異なり、特殊な技術や知識が求められるため、免許を持たなければ業務に従事することはできません。試験には実技がなく、筆記試験のみで構成されているため、比較的取得しやすい資格ではありますが、合格後すぐに現場で活躍できるわけではありません。実際に潜水士として働くためには、資格取得後に企業へ就職し、実践的な技術を身につけることが必要です。

潜水士免許を取得するには、厚生労働省が管轄する安全衛生技術試験協会の試験を受ける必要があります。受験資格には学歴や経験の制限がなく、18歳以上であれば誰でも受験可能です。この試験は全国各地の試験センターで実施され、合格すると厚生労働大臣から正式な免許が交付されます。ただし、試験は筆記のみで、実技試験は含まれていません。そのため、資格を取得しただけでは水中作業のスキルを身につけたことにはならず、現場での経験を積みながら技術を学んでいくことが一般的です。

潜水士の仕事は、単に水中に潜るだけではなく、溶接や建設作業、機器の設置や撤去、船舶のメンテナンスなど、多岐にわたる業務が含まれます。企業に就職すると、まずは現場での研修を通じてこれらの技術を学ぶことになります。例えば、潜水方式にはスクーバ式、フーカー式、ヘルメット式の3種類があり、それぞれ異なる技術が求められるため、配属先の企業で適した方法を学ぶことが必要です。また、水中での溶接や工具の扱い方、緊急時の対応なども訓練を受けながら習得していきます。

安全管理の知識も重要であり、水中での事故を防ぐために減圧症のリスクや浮上時のルール、機材の点検方法などを学ぶ必要があります。企業によっては、新人の潜水士に対して定期的な講習を実施しており、業務に必要な安全管理の知識を徹底的に指導することが一般的です。こうした訓練を積み重ねることで、実際の作業環境に適応し、一人前の潜水士として働くことができるようになります。

このように、潜水士になるにはまず免許を取得し、その後企業での実践を通じてスキルを磨いていくことが不可欠です。資格があるだけでは即戦力にはなれず、経験を積むことが非常に重要であることを理解しておく必要があります。

資格の取り方と難易度は？

潜水士免許を取得するためには、安全衛生技術試験協会が実施する国家試験に合格する必要があります。この試験は筆記試験のみで構成されており、実技試験はありません。試験科目は潜水業務、送気・潜降および浮上、高気圧障害、関係法令の4つに分かれており、潜水に関する基本的な知識や安全管理のルールを問われる内容となっています。合格基準は全体の60%以上の得点、かつ各科目で40%以上の得点を取ることが条件とされており、これをクリアすれば資格が取得できます。

試験の難易度は比較的低いと言われており、合格率は毎年70～80%程度と高めです。実技がなく筆記試験のみという点が影響しており、事前にしっかりと勉強すれば独学でも十分に合格できるレベルです。特に過去問を繰り返し解くことが有効な勉強方法とされており、試験対策として最も効果的だと考えられています。試験内容は毎年大きく変わることはなく、出題傾向が安定しているため、過去問を活用した学習が非常に重要になります。

勉強時間の目安としては、完全に初めて学ぶ人でも10～20時間程度の学習で合格できると言われています。特に、関係法令の部分は細かい知識が求められるため、重点的に学習する必要があります。一方で、潜水業務や送気・潜降および浮上の分野については、基本的な知識を押さえておけば対応できる問題が多く、特別に専門的な知識が必要になることはほとんどありません。

試験に合格すると、申請手続きを経て正式に潜水士免許が交付されます。この免許があれば、潜水士として働くことができますが、資格を取っただけでは実務経験が不足しているため、すぐに現場で作業を任されるわけではありません。一般的には企業に就職し、現場での研修やOJTを通じて実践的なスキルを学びながら、一人前の潜水士として成長していくことになります。

潜水士の資格を取得すること自体は難しくはありませんが、資格を取ることと現場で通用する技術を身につけることは別の話です。実際の業務では、水中での作業や機器の扱い、緊急時の対応など、多くの実践的なスキルが必要とされるため、資格を取得した後も継続的な訓練が求められます。特に、水深が深くなるほど作業の難易度も上がるため、深海での作業に対応するためにはさらなる専門知識と高度な技術が必要になります。

潜水士資格の取得は、潜水を伴う仕事に従事するための第一歩に過ぎません。試験自体の難易度は決して高くありませんが、現場での実践を積みながら経験を増やしていくことが、潜水士として長く活躍するために必要な道となります。資格取得後も学び続ける姿勢を持ち、日々の訓練を重ねることが、プロの潜水士としての成功につながるでしょう。

資格を取得するメリットとは

潜水士免許を取得することには、さまざまなメリットがあります。この資格は水中での作業を行うために必要不可欠な国家資格であり、取得することで就職の幅が広がるだけでなく、専門職としての安定した収入を得ることが可能になります。特に、海洋建設やサルベージ、船舶メンテナンス、海洋調査、警察や消防の水難救助隊など、潜水士の資格が必須となる仕事は多岐にわたるため、資格を持っていることで活躍の場を大きく広げることができます。

また、潜水士の資格を取得することで、通常の陸上作業よりも高い手当が支給されるケースが多くなります。水中での作業は危険を伴うため、潜水手当や深海手当などが上乗せされることが一般的です。特に、大規模な工事現場や難易度の高い作業に従事する場合、通常の建設作業員よりも高い収入を得ることができるため、専門職としての価値が高い資格であるといえます。

資格を取得することで、将来的に独立する道も開けます。経験を積んだ潜水士の中には、企業に所属せずにフリーランスとして活動する人もおり、特殊なスキルを持つことで高単価の仕事を受注することが可能になります。特に、海洋調査や深海工事、テレビや映画の水中撮影の分野では、経験豊富な潜水士が求められるため、独立することでより自由度の高い働き方を選択することができるのです。

さらに、資格を持っていることで、転職の際にも有利になります。潜水士の資格を持っていれば、港湾工事や水産関連の企業、消防・警察などの公務員職への転職がスムーズに進みやすくなります。特に、公共事業に関わる仕事では資格を有していることが必須条件になる場合が多いため、資格を取得しておくことはキャリア形成において大きな武器となります。

この資格のもう一つのメリットは、国際的に通用する技術を身につけられる点です。日本国内だけでなく、海外でも潜水作業のニーズは高く、特に海洋開発やエネルギー関連の分野では、高度な潜水技術を持つ人材が求められています。そのため、潜水士としての経験を積んだ後に海外のプロジェクトに関わるチャンスを得ることも可能です。

こうしたメリットを踏まえると、潜水士の資格を取得することは、単に水中で働くための資格以上の価値を持っています。専門職としての安定したキャリアを築くための第一歩であり、収入面でも将来的なキャリアの選択肢を広げることができる資格であることは間違いありません。

将来性と仕事の安定性について

潜水士の仕事は、今後も一定の需要が続くと考えられています。なぜなら、水中での作業は技術の進化によって機械化が進んでいるものの、人間でなければ対応できない作業が依然として多く存在しているからです。特に、港湾施設の建設やメンテナンス、沈没船の引き揚げ、海洋開発などの分野では、専門的なスキルを持った潜水士が必要不可欠な存在となっています。そのため、潜水士の仕事がすぐになくなることはなく、長期的な視点で見ても安定した職業であるといえます。

また、自然災害や事故対応においても潜水士の役割は非常に重要です。地震や台風による津波被害が発生した際には、沈んだ建造物の撤去や水中調査が必要になりますし、水難事故の捜索・救助活動においても、潜水士の技術が求められます。こうした緊急時の対応が必要な分野では、機械やロボットでは対応しきれないケースが多く、今後も人間の潜水士が活躍する場面は続くでしょう。

一方で、潜水士の仕事は肉体的に過酷な側面もあるため、若い世代の担い手が少なくなっていることが懸念されています。その結果、潜水士の人材不足が進み、資格を持つ人材の価値が今後さらに高まる可能性があります。特に、経験豊富な潜水士は高く評価され、高額な報酬を得るチャンスも広がっています。現在のところ、潜水士の数は限られており、専門職としての需要は安定しているため、資格を取得して実務経験を積めば、長く働き続けることができるでしょう。

また、新しい技術の導入によって、潜水士の仕事の幅が広がることも考えられます。例えば、海洋資源の開発や洋上風力発電の設置作業など、新たな産業が成長する中で、水中作業を専門とする潜水士の需要が増えることが予想されます。さらに、水中撮影や海洋生物の調査など、従来の工事や救助以外の分野でも潜水士の技術が活かされる機会が増えているのも、将来性を支える要素の一つです。

この仕事の安定性を考えた場合、どの業界で潜水士として働くかも重要なポイントになります。建設業や漁業関連の分野では、景気の影響を受けることがあるため、収入が変動する可能性があります。一方で、警察や消防、海上保安庁などの公務員として潜水士の仕事に就く場合は、安定した収入と福利厚生を得ることができるため、安定志向の人には適した選択肢となるでしょう。

潜水士の仕事は、特別な技術を持った専門職であり、簡単に代替できるものではありません。確かに、体力的な負担が大きい仕事ではありますが、その分、高い技術を持つ人材は貴重であり、需要が途切れることはないでしょう。これからの時代、新たな海洋開発のプロジェクトが増える中で、経験を積んだ潜水士の存在はさらに重要になると考えられます。資格を取得し、実務経験を積むことで、将来的により高い収入や安定した職場環境を手に入れることができる職業であることは間違いありません。

潜水士の仕事はきつい？その実態と魅力を総括

この記事のポイントをまとめます。

• 潜水士は水中作業の専門職であり、海洋建設や船舶点検、救助活動など多岐にわたる
• 水中作業は視界が悪く、水圧や潮流の影響を受けるため高度な技術が求められる
• 減圧症や酸素供給トラブルなど、命に関わるリスクがある
• 事故のリスクが高く、死亡率は他の危険作業と同等かそれ以上とされている
• 潜水士の年収は平均450万円程度で、経験を積めば600万円以上も可能
• 危険手当や深海手当がつくため、一般的な職業より収入は高め
• 見習い期間の給料は低めで、最初は月収17万～20万円ほどが一般的
• 勤務体系が不規則で、長期間の出張や急なスケジュール変更がある
• 潜水士になるには国家資格「潜水士免許」の取得が必須
• 潜水士免許は筆記試験のみで取得可能で、合格率は約70～80%と比較的高い
• 資格取得後も実践的な技術を習得するための訓練が必要
• 資格を持っていれば転職に有利で、海洋建設や消防・警察など幅広い職種で活躍できる
• 潜水士は人材不足の傾向があり、資格保有者の価値が高まっている
• 海洋開発や水中撮影など新しい分野でも潜水士の需要が拡大している
• 体力・判断力・安全意識の高い人が向いており、厳しい環境を乗り越えられる人に適した職業